■読書 野村克也『強打者列伝』 角川書店
ノムさんの本は基本同じという。まあ、同じネタを使いまわすし、語り口は一緒だしねえと思う。ただ、だからこそ、スルスルと楽に読めるという意味で、ある種の清涼剤的ともいえる(著者近影に清涼感ないけど)素晴らしいコンテンツだと思う。
さて、本作はノムさんが憧れた、対戦した、見てきたバッターたちについて。「強打者」と認めた、あるいは「強打者」の可能性を見たバッターについていつものノムさん節で語られます。特にキャッチャー視点から各バッターをどう抑えるかというくだりにはノムさんの性格の悪さ(褒めてる)があふれていて楽しめます。重視されるのは「頭を使うこと」「チームのためにあること」。そして人間性。仕事=野球と一貫した人間教育を求めるノムさん哲学が全編に満ちており、お馴染みのボヤキが聞こえてくるような語り口でするすると読めます。(教え子を取り上げた章で古田を取り上げなかったのはいろいろ面白いですね。2000本打っているわけだし、ご本人が言うところの「頭を使った」打者だったはずだし。やっぱり年賀状であろうか)